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映画:かぞくのくに映画ネタ2連発です。 昨日、川崎109シネマズにて見て来ました。 昨今の韓流ブームもいまやすっかり定着し、わざわざ韓国ドラマや音楽が好きなどと言わなくても、少女時代やKARA、東方神起、また、いつでもさまざまなドラマがごく当たり前にTVで見られるようになり、特別なものではなくなりました。 しかしいまだほとんど情報もなく、ニュース画像では進展しない拉致問題、時折行われる衛星/ミサイル発射、正恩氏とその夫人の話題、政界での不可解な人事ぐらいしか見ることが出来ない隣国、朝鮮民主主義人民共和国、その国を祖国として暮らす人々がこの日本に存在する事実。 昭和20年に日本に二発の原子爆弾が落とされ無条件降伏をしたときに、本来連合国によって同じ敗戦国ドイツのように分断されるべきであった日本の運命を、悲惨にもそのときの国際政治のバランスから引き受けさせられることになった朝鮮半島、その社会主義国側の任務を背負うことになった共和国、 今思えばありえないと思われることだが、共産勢力の強力なバックアップにより輝かしく建国したその国は、いまとは逆に軍部の強権主義とクーデターの恐れ、経済的には貧困を極めていた大韓民国に比べ、まさに宣伝どおりの「地上の楽園」と当時は今よりも過酷な差別に苦しむ日本に住む朝鮮を母国とする人々の中に考える人がとても多かったそうで、国籍を北にするものも多かったと言います。そのため1959年(そんなに昔ではない、私の生まれた時代です)から始められた帰国事業ではなんと9万数千人が北の地に渡ったのでした。 先日FMでヤン監督のお話を聞いたのですが、その際に、当時宣伝とは違う現実が少しずつ伝わるようになり、不安に思う帰国予定者は、検閲を恐れ、家族に秘密の連絡方法、例えば手紙をペンで書いたら「待遇が良い、大丈夫」鉛筆で書いたら「状況は噂どおり、絶対に来てはいけない」などの取り決めをしたと言います。 ほとんどの家族は「親愛なる首領様のもと、元気でやっています」という美辞麗句の内容の手紙に添えられた人相が変わるほどやせ細った写真を見て泣き崩れたといいます。 私はいまここで、偉そうに思想・体制の問題とか「我々は北の状況を知るべきだ」などと語るつもりはありません。ただ、数十年前の、当時はそれなりに理由のあった決断により、現在も北の影響下にありながら、この私達と同様に日本で生まれ育ち、この国で毎日暮らしている同じ人間が存在することと、そのことに起因する言い表せぬ悲しみや葛藤を赤裸々に描いたこの映画を見ることは絶対に意味のあることと感じています。 この映画の内容は、北を信じ、息子を祖国に送り出した家族の元に、重い病気治療のために三ヶ月の期限つきで一時帰国した青年、喜び迎える家族だが、24時間監視のもと、楽しくも重い時が過ぎていく。そしてある晩彼が最愛の妹に持ち掛けた驚愕の提案とは・・・。という簡単なものですが、それだけにどうしてよいか分からぬ閉塞間のようなものが際立ちます。 全編に於ける妹役の安藤サクラの健気でまっすぐな迫真の熱演がスゴいです。 私達が普段考えもしない現実描写もあります。元々病気治療で訪日する特例があることを知らなかったこと。 また、語学学校で教鞭をとる妹の生徒(日本人)から「ソウルに就職決まったので先生遊びに来てください。」って言われたとき、「私韓国行けないの」とそそくさと立ち去る姿にも思いがけず衝撃を受けました。 息子のため、嫌な北側の監視員に背広まで買ってやるオモニの宮崎美子、そして立ち去る車に乗るオッパ(年下の女兄弟から見た兄)の腕を離さぬ妹。 すでに医師の妻になっていた元恋人役の京野ことみも適役。彼のために医師である夫を動かし奔走する彼女が、突如帰還命令が出てしまった彼に思わず「二人で逃げちゃおっか」というシーンには泣かされます。みな、もうこれで帰したら二度と会えなくなると口には出さなくとも知っているんですね。 ほとんど音楽がないためドキュメント映画のような緊張感もこの映画の特徴かも知れません。(イメージソング「白いブランコ」を叙情的な歌を歌わせたらピカイチのアン・サリーさんが歌ってます。) どうでもいいことでは、映画のロケ地には私が以前このBlogで紹介した北千住の小さなGS前なども出てきてハッとします。妹の本棚に私も持っている猪飼野の本が並べてあったのも見逃しませんでしたぜ。 「日本よ、これが映画だ」とか言うハリウッド娯楽超大作を十本見るならこれ一本見てもバチ当たりませんよね。 見応えも結構重くてぜんぜん娯楽ではないけど、この胸にしみる映画を作られたヤン監督に感謝です。
by Detachment801
| 2012-08-06 06:49
| 韓国・朝鮮文化
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