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旧車 パトカー 街の写真、食べ歩きから不要情報までというブログでしたが2014年に横浜に転居直後に癌発症、その後転移が見られ、現在も療養中。そのため内容がクルマに限らず身近なエリアと話題主体になっています。
by Detachment801
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劇団四季 アイーダ 東京公演

以前から楽しみにしていた劇団四季の「アイーダ」を汐留にある電通四季劇場「海」にて知人ら3人で昨日見てまいりました。

初めてなので勝手がわからず、朝、早めに一度下見に行った時の汐留周辺
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「アイーダ」はヴェルディの歌劇が有名で、特にその高らかな凱旋の曲がサッカーの応援に使われたことから、メロディーだけは知っている方も多いと思います。
しかしこの劇団四季のアイーダは、基本的には同じ時代の同じ登場人物ながら、かなり違った演出になっています。

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元はディズニーが企画したブロードウェイ・ミュージカル、ストーリーは古代エジプトを舞台にした敵対する国家の中に芽生えた悲恋物語。

冒頭部分は現代のエジプト美術館のような場所から始まる、多くの男女が見学する展示品、その中に悲しい恋物語が隠されていた・・・見学者の中には現代に生きる主役の二人が見え隠れしていた。という時空を超えた設定がなかなか良い。


本物のヌビアの遺跡

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強国だったエジプトの、若き将軍ラダメス(阿久津陽一郎、ちょっとラサール石井似だと思っていたら、休憩時間に同行知人も同じことを言っていてウケた)は隣の国ヌピアを侵略し、富を奪い、人民を奴隷にするなど蹂躙を繰り返していた。その帰国途中、川のほとりを散歩していたヌピア人女性らを捕虜として連れ帰るが、その中には王女アイーダ(濱田めぐみ)が含まれており、気性が激しく気高い彼女は船上で決起するがあえなく失敗に終わる。ラダメスは婚約者でエジプトの王女アムネリス(光川 愛)にプレゼントとしてアイーダを侍女として捧げる。

エジプトの宮殿には、先に捕らわれているヌビア人たちも多く、少々軽いが気の利く忠臣である若い男メレブ(金田暢彦)がアイーダの素性を知っていてなにかと助けてくれるのだ。、

 ラダメスの父ゾーザー(田中廣臣)は謀略をめぐらし、息子であるラダメスを次期支配者にすべく国王に取り入り、その王女をラダメスの婚約者とすることに成功するが、同時に国王には毒を盛り、徐々に衰弱させていくという悪だくみをめぐらしている。応援団のような手下を自由に操っていて危険な男である。

いつの間にかアイーダに惹かれていくラダメス。そして、憎き侵略者ながらまっすぐな気性の若くたくましい将軍ラダメスに惹かれるアイーダ。
そして、おしゃれと美容に磨きをかけてラダメスの心をつなぎとめようとしているエジプト王女らがからみ複雑に展開していく。

とにかく歌と踊りのキレがよくて、だれた所がないのはさすが四季なのだろう。舞台の演出も照明や大きな布、シルエットによる象徴的なシーンも目に鮮やかで、観劇の面白さというものを教えてくれる。
ダンスの見ごたえはかなりなもの。端の方の名もなき捕虜の役の一人一人まで相当練習を積んだことが伺える。
音楽はヴェルディの有名な曲は使わずエルトン・ジョンによる。ピアノの感じがエルトン・ジョンらしくて、切ないバラードもよかったですな。途中に挿入される奇抜なファッションショーも彼のセンスかも(^^)

何も怖いもののなかった武将ラダメスが、初めて心を開いた相手が、今は捕虜の身分であるが、実は敵対関係にある隣国の王女という皮肉な設定はロメオとジュリエット、ウエストサイドストーリーにも似て、悲恋の舞台としては最高の設定である。
気高くまっすぐな彼女に心を開くにつれてラダメスは、自分にとって何が大切なのかを知るようになり、軍服の着こなしまで雑になるあたり、芸が細かい。
もはや彼にとって、輝かしい武勲も、富も名誉も、まして国王の娘との政略結婚など、なんら意味のないことであり、ただ愛する女性アイーダとともに過ごしたいと思うようになるのだ。

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それを知り激怒した父は、配下のものにアイーダを見つけ次第殺害するように命令するが、機転をきかした捕虜たちの中から一人の女性が身代わりを志願し、犠牲になるという激しくも切ないエピソードや、まったく自分を見てくれなくなってしまったラダメスに苛立つが、アイーダを次第に友人と思うようになっていく王女の心の変化などを絡めながらストーリーは進むがここで大きな事件がおきる。

身分を隠して王女に仕えているアイーダのもとに衝撃的な知らせが届く、父であるヌビア王が捉えられ、処刑されるというのだ。
助け出すチャンスはたった一つ、愛するラダメスと王女の婚礼の最中になら手薄になった警備の隙を見て父を助け出せる。しかもアイーダにはラダメスからもらった通行証のごとき王家の首飾りもあるのだ。
ところがこれが頑固で気短な王でもある父の怒りを買ってしまう。いままでヌビア人に散々辛苦を与え続けたエジプトの将軍と心を通じ合うとは何事かと。あまりにも過酷な両国の歴史が、彼女の一途な愛さえ阻む辛い瞬間が訪れようとしているのだ。私はもうこの辺で涙がでてきて困ったです。

彼女は泣く泣くラダメスに別れを告げ、王女との婚礼を受け入れよと進言する。
はたして婚礼の最中にヌビア王の脱走が発覚し、大混乱となってしまう、このとき忠臣だったヌビアの若者は追ってきたラダメスの父に、船着場で刺されてしまい、ただ祖国への想いの中で息絶える。
なんとなく登場してきたときから彼は殺されてしまうように思ったが、やはりそうだったか・・・。

その父と追手の前でヌビア王の脱走を助けるラダメスは、ついに国家反逆の罪でアイーダとともに捕えられ、もはや二人を待つのは生きながら埋められるという処刑のみ。書いてるだけで思い出して泣けてきそうだ。

ここで当初はちょっと頭が弱そうに思えた細ーい王女が毅然として登場する。
親が決めた結婚ではあるが彼女もラダメスを愛していた。しかし、運命のいたずらで彼からは愛されぬことに悩んだ王女、傲慢そうではあったが思えば彼女もひとりの女であった。
彼女は王に宣言する、次の王位は私が継ぐと、そしてこの刑も私に決めさせてくれと、
世間には辱められた女と思われたに違いないのであるが、夫となるべきラダメスと、侍女であったヌビア王女アイーダの深い愛を知り、エジプト女王となる彼女は処刑される二人にたった一つだけ情けをかける。

「二人を同じ場所に生き埋めにせよ」

この時代、反逆者であった男女を同じ墓に入れることは最大の慈悲であったのだ、いいところあるよね、この王女。

闇の中、手を握り合ったアイーダとラダメスはだんだんと見えなくなり星になってしまう(TT)つらいっす。

ここで舞台は現代に、その遺跡が飾られた冒頭の美術館に戻る、
「たとえ100回生まれ変わっても君を探し出す」と言ったラダメスの生まれ変わった彼が、美術館を訪れ、アイーダの生まれ変わりである女性に、つつつつついに巡り会うところでこの舞台はおしまい。

もー参った!観劇でこんなに入り込んでしまったのは初めて!(TT)
感動しました、人気あるわけだこの舞台。同行者も絶賛してました。四季はライオンキングに見られるように、この手のアフリカ系の芝居が結構良いそうだ。しかしよかったなぁ、チケット入手してくれて本当に感謝してます。

以上!

帰りに電通ビル内のレストランで食った生牡蠣のアイーダスペシャル
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by Detachment801 | 2010-04-11 04:35
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