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自我 というもの
今日はひとりごとの類です。
ある日、子供の頃だが、 夕方になって自分の家に帰るのは、自分だけであり、他の誰でもないと気がついた。 学校で、みんなとスポーツをしていても、私は皆がボールを追うから追っているようなところがあり、なんとなく情熱を傾けたり出来なかった。 私の両親はちょっと変わったところがあり、私自身も、周りの友人達とは共通の常識のようなものを持っていないことに早くから気づいていた。 父親は昭和初期に上海の裕福な家庭に生まれたが、医師であるその父親亡き後は自由奔放で恋多き母や兄弟たちと苦しい生活を送り、常識的で生真面目だが反骨精神は物凄く、日本という国自体好きではなかったようで、「俺は日本には来ているだけ」と言い放っていたし、某巨大政党の選挙運動をTVで見ると、「日の丸の鉢巻なんかするようなやつに入れるな」と危ないようなことも平気で言っていた。 もちろん日本の会社には合わず、最初から最後まで外資系またはその業務に勤務していたのは言うまでもなかった。 趣味に関してはかなりの凝り性で、あるユダヤ人音楽家をこよなく敬愛し、一生彼を慕っていたのは少年時代に亡くした父の幻影を追うかのようであった。晩年は音楽評論家としてはたまに耳にした事もあるのですが、私には家中を本とレコードで埋め尽くして、潜水艦の中のようにしてしまったため、害毒としか思えず、その道の人が聞いたらさぞかしもったいないことでしょう。 母は宝塚歌劇や太宰治が好みであり、まったく目の前の現実を見ない人で、炊事洗濯掃除は大嫌い、「他人が作ったものが美味しい」というのが口癖、 私が子供の頃彼女に習ったのは「キスするときは唾液を好感するものよ」 これには嫌悪感を抱きました。 あと、「海の中でおしっこをすると気持ちが良いからしてごらんなさい」 これも嫌悪感を抱きました。 日常では「靴が汚れたら靴を脱いで靴下の裏でこすれば綺麗になる」 これは何度かやってみました。 友人の家に行くと何もかもが私の家とは違う常識で動いているのを目の当たりにして、自然に疎外感みたいなものを学ぶのは簡単でしたね。 父はそんな母が好きだったらしく、全く文句を言わなかったのだからたいしたものです。 結局私はどこにも居場所がない感覚のまま、他人とは深く関れず、常識も知らず成人してしまい、落ち着いたのは一人暮らしの部屋を綺麗に掃除して、真っ暗な誰もいない部屋に夜帰るときでした。 結婚して子供を持っても私は家族という感覚がよくわからず、自分は自分、なんとなく一人でいる感覚でした。いろいろなコレクションに精を出したのはこの頃です、お金を使うとストレス解消になるというのは本当だと思った、いろいろあっていまは離婚していますが彼女達には迷惑をかけたし、子供達には一生責任を負い続けることだと思っていますが、それはまた別の問題なので省きます 今も、地方都市などに行くと、それぞれの街にそれぞれの家があってそこに何の疑問も持たずに帰っていく人たちがいるのかなと思うと、いたたまれないようなつかみようのない感覚に襲われることがあります。 ただ自分だけがいて、周りの世界は映画を見ているみたいな感じ、 これは元キャロルのジョニー大倉が彼の生い立ちから(彼は在日韓国人)もっともっと深刻ではあるが、ちょっと似たようなことを思い、「アザラシは自分達のトゲで傷つけあわぬように適当な距離を持って群れている」という言葉や、彼のよく使う「観照生活」ということばにたまらなく共感を持ちました。 結局、自我というのものは誰にでもあって、多かれ少なかれ似たようなことを考える時期があるのでしょうが、私の場合あまりにそこに囚われていたのかもしれません。 しかし、ごく最近、自分をすべてさらけ出せる人に逢ったこと、これは大きかった。何故って、いままで親兄弟、妻や子供にすら自分をさらけ出したことがなかったし、自分の居場所というものを感じたことがなかったからね。 ![]()
by Detachment801
| 2010-03-24 08:43
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