旧車 パトカー 街の写真、食べ歩きから不要情報までというブログでしたが2014年に横浜に転居直後に癌発症、その後転移が見られ、現在も療養中。そのため内容がクルマに限らず身近なエリアと話題主体になっています。
by Detachment801
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切手集めなどしていた頃(1968-1972)

昭和40年代の子は、いろいろなものを集めたものでした。ベーゴマやめんこは下火になってきた頃で、インドア男子はたいてい酒の蓋、牛乳瓶の蓋、などタダのものから、ちょっと余裕があると切手など。
女子はおはじきや良い香りの消しゴム、あとプラスチックの筒から連綿と紐ができてくるリリアンという謎の小さな編み機は何が面白いのかよくわからなかった。

私が好きだったのは切手集め、ただし、余裕のある家の子のように新品の切手を「◯◯スタンプ」のような専門店で買いこみ、綺麗なストックブックに挟み、学校に持ってきて自慢するようなことではなく、父親のところにたくさん来る封書から、切手部分を切り取り、洗面器の水につけ、一晩経ったら新聞紙に挟んで水気を取る。押し花のような地味な作業を主体とするものでした。つい先日、過去にほとんど処分してしまったが何枚か残っていた未整理の切手を洗面器の水につけて50年前の雰囲気を味わってみた。
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これは、切手集めとは、派手なもの、一般的に価値あるものを買うのではなく、たまたま手に入る通常切手から、消印付きで汚く見えてもそれも歴史だという父の堅実で厳格な考えが影響したと思っています。

なんせ、当時のブームは「月に雁」が6000円「見返り美人」が2500円とジョニ黒、ジョニ赤のような価格。子供の手の出るものではなく、しかも買取はその1/6が常識であり、新しい「切手趣味週刊」や「国際文通習慣」発売日には、家にいるお爺さん、お婆さんも朝から郵便局に並ぶのが当たり前。


さすがに封書に貼って送ってくる人はあまりなく、参考画像です。
左が見返り美人。日産プレセアのCMで桐島かれんさんが再現されたのには驚いた。(一番下に参照)
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結局、需要に対する供給の少ない物の入手や販売の原点が小学生にして学べた私にとっては現在取り上げられる所謂「転売ヤー」に対する非難は行き過ぎなのではないのかと感じることが多いです。

この頃買った「ぼくらの切手入門」のような子供向きの本には、「君が切手集めをしていることを知った人が好意で切手をくれたとき使用済みで重複するようなものばかりでも不機嫌にならず喜んで受け取ること」というような「大人の対応」も教示してあって、そんなことも覚えました。



懐かしい日本切手。「大蔵省印刷局製造」のタブがあるものが好きでした。これを勝手に「オークラ付」と呼んでいたら「銘板」というのだと教わる。お年玉はがきで小さなシートが当たる年賀切手も好きでした。

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印刷技術が緻密な海外の切手、べったりとした凸版印刷よりも凹版のほうが細部も綺麗なのだと父に教わった。当時はアポロが月面着陸した時代で米国以外の中東の国からも記念切手が出されていた。
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このように封書に貼られたままの状態の方がエンタイヤと呼ばれ、価値があると知る。これは物資のない時代で平版印刷の切手が貼られている。
戦後すぐはまだ戦前の切手が使われていました。
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父はこのような作業には妙に厳格で、単品の切手はストックブックに刺したままではなく、切手アルバムはルーズリーフノートに自分で作り、国名など書き込み、切手はヒンジで貼り込むことと言い渡された。最初の一冊は父が作ってくれましたが、国名を丁寧に旧字体で書いた恐るべきもので、学校に持ち込むと「臺灣」「沖繩」などと万年筆で書かれたそちらの方に友人は驚いていました。



最近の若い人は知っているのかわかりませんが緑のㇵトロン紙に糊が塗られたヒンジのついた切手。見るからに外観上は見劣りするが、昔はこの方法しかなかったため、評価の際は大目に見られる。子供の頃は不思議な言葉と思いましたが、家具や自動車のドアヒンジと同じ用語ですね。
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日産プレセアは良いクルマでしたが、少々屋根が低かった。メーターパネルの照明が全部青かったのも良かった。



どちらかというと個人的記録として書いておきました。


# by Detachment801 | 2021-08-08 02:16

刃渡り◯センチメートル

昨日の小田急線の通り魔事件でふと思ったのが「警察24時」のような番組で、車内にアーミーナイフを積んでいて銃刀法違反で取り締まられる人を散見すること。
たいていの刃物は銃刀法(携帯)に抵触する刃渡りが6センチメートル以上ありますので、キーホルダー的なものでも違反を問われることが非常に多いと思います。

また、ドライバなどの工具類や懐中電灯を工具箱に入れずに荷室などに置くのも侵入用具とみなされアウトです。
もちろんサバイバルナイフなどもってのほか。特殊警棒の類や大型のマグライトも武器の所持となり警察署で事情聴取の可能性大。

私は過去に組み立て式ハンガー台をトランクに積んでおいて職務質問にあったとき、箱から何本か出ていたので「この鉄パイプは何ですか?」と嫌な状況になりましたが、フリーマーケット用ですと答えると「きちんと箱にしまってください!」と警告されたことがあります。

愛好家も多いスイスのチャンプナイフ、これは大丈夫かと思うと大間違い。
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刃体の長さは根本から計るために、優に6センチメートルを越えています。
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これはmichaelさんがセマフォーと似ている。と書かれたタイプの折り畳みナイフと思います(持っていないのでマッチ箱のイラスト)。たしかに似ています。
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刃がないので売られている本場イタリアのスイッチブレードを日本向けにしたドライバー。刃の質量が重いのと板バネが強いために開いた瞬間手に反動があるのがわかります。これは刃がなくても恐ろしい。




容疑者が徒歩で電車に乗っていたために今回のような通り魔もなかなか防げぬものと改めて思いました。しかしこれが米国だったら銃乱射になってしまうかと思うと鳥肌が立ちます。

少なくとも我々は、李下の冠、瓜田の靴、ゆめゆめクルマには少しでも危険と思われるものは乗せるべからず。ですね。


# by Detachment801 | 2021-08-07 10:26

トンプソンM1928 短機関銃。

「こんちは、大家さん。えへへ」
「何だい、八つぁんじゃねえか、ニヤニヤして気持ち悪いな」

「いやね、大家さん、最近何か面白い骨董品を買ったってね、熊公から聞いた」
「おおそうか、あいつも口が軽いな」

「大屋さんこそ人が悪いや、それを内緒にしてあっしにプレゼントしてくれるってぇ算段か?」
「何をわけわからんこと言ってるんだ、これのことだろ?」


米国から支援物資としてソ連へ送られたトンプソン、多くが未使用のまま保管されていた。
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「ああ、ごめんなさい、大家さん、もう店賃は溜めねえから、堪忍しておくんなまし」
「頭ン中とッ散らかってんな、違いますよ、いま店賃の催促なんざしようと思ってるわけじゃないよ、これはね、戦前のものでね、使えないようになっているんだよ」

「ああ、良かった、もう未来永劫に店賃はいらねえってことかい」
「お前さんと話してると疲れるな、まあいい、よく見てごらん」

「うーん、よく見ると、こいつぁ子供んころ、テレビで見たサンダース軍曹の機関銃じゃないですか(*)」
「良くわかったな、アメリカさんのトンプソン、M1928ってやつだよ、実はな、あたしはこういうものも結構好きでね、戦争は絶対に嫌だけどね」


モデルガンではカスタム品以外再現されなかったカッツコンペンセイターの刻印
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「大家さん、いい人かと思っていたが悪い趣味だな、これで今晩横丁の質屋にごうと・・・」
「これこれ声が大きいよ、人聞きの悪い、こういうものは、細部を見て楽しむもんだ」


簡易型ライマンサイトと、銃弾型のトンプソンの刻印が見える
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「ふーん」
「例えばな、こういう刻印、こりゃおもちゃの銃にはないもんだ、お前さんにはわからねぇだろうけど、製造元やいろんなことがわかってくる、ここが無可動実銃をインテリア装飾品に加工した良いところだ」

NO.S-で始まる製造番号はサベージ社製造。
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「ふーん」
「あとな、銃身を埋めたり溶接したり、内部を破壊したり警察の検査があったり、ここに来るまでは多くの人の苦労があったってわけだ」


引き金の上の横長の楕円形の穴は官憲による内部確認用
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「ふーん、最後まで聞いたらなんかくれるかい?」

「どうも生返事だと思ったよ、おい婆さん、昨日買ってきた日本酒と佃煮を出しとくれ」
「そうそう、そうこなくっちゃ、さすが大家さん、親も同然だね、えへへ」


この品にはマガジン(弾倉)にもオートオーデナンスの刻印あり。
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「なんて現金な奴だよ、月末には店賃のひとつやふたつ、入れておくれよ」

(*)参考画像:TVシリーズコンバットが表紙のTVガイド。現在は射撃の寸前まで引き金に指をかけることはしない。
出典:しがない三四郎@shinya_bokudake さんより。
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# by Detachment801 | 2021-08-06 21:49

セマフォー、所謂アポロ式方向指示器について。

Michaelさんの http://micha072.blog.fc2.com/ に返信コメントをしようと思ったのですが、個人的にとても思い入れが強い話題でして、あまりにも膨大なコメントになりそうなのでこちらに記事として載せます。

戦前から戦後の一時期、欧州や日本では「セマフォー」という方向指示器がごく普通に備えられていました。国内では最大手のアポロ工業のほか「ニッポー」「シーマ」「アイホー」他、各社林立していました、しかし「アポロ」社のシェアがあまりにも大きいため「アポロウインカー」が通常名詞になったほどです。現在はモータージャーナリストの方々まで「アポロウインカー」と言う人がいるのですからこの流れは止められない感じがします。

現実にはこの方向指示器は矢羽が手動もしくは電磁的に立ち上がり、点灯しますが、点滅はせぬもので、ウインカーの名はややそぐわぬものと思っています。
私はバスの一番前の席に陣取り、右左折の前にこのセマフォーがぴょんと立ち上がり、終了後は魂が抜けたようにパタンと下がる姿を見るのも好きでした。

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元々は鉄道に使われる「腕木式信号機=Semaphoe」から来た名称であり、神田・万世橋にあった交通博物館では半地下のような通路にこのセマフォーがずらりと並んで、幼かった私には鉄製の手動レバーが重くて動かせぬものもありましたが、これをガチャンガチャンと動かすのはとても楽しかったことを覚えとぃます。


海外の腕木式信号機。
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日本の腕木式信号機(小学館・交通の図鑑より)
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欧州車や国産高級車には車体に埋め込まれているのも多かった。
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初代VW・ビートル。
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昭和20-30年代には単車に後からつけるオーナーも多かったようです。2013年に訪れた朝霧高原二輪車館にて。トーハツからBMWサイドカーまでここの膨大な展示台数は凄かった。現在の営業状況は不明。
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アポロ社製品には英語表記と日本語表記のものが見られますが、どちらかが新しいのか?それとも併売されたのかはわかりません。
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過去に入手した「Aiho」製。眺めていても飽きない。
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想像ですが愛知方向指示器製造などの略称かもしれない。
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これも過去に入手した品「APOLLO社」製。スイッチと本体がワイヤーで繋がれ、リレーがないので点滅しない構造とわかる。取り付けステーが長く、赤く塗装されているために、雑誌などで見る「三輪消防車」から外したものではないかと思いを馳せる。スイッチレバーはエボナイト製と言われている。

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JISマーク付き。(JISマークは、1949 (昭和24)年の工業標準化法制定以来付されてきたマーク
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上記スイッチボックスにもきちんとAPOLLOという刻印が入って好感が持てます。このスイッチボックスはアナログ作動で、ハガネのゼンマイのようなバネが入っていて、右に回しても、左に回しても中央に戻る動作を助ける絶妙なものです。
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昭和32-33年頃の1枚物のパンフレット。
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すでに当時からセマフォーではない車種向けにフラッシャーも作られていた。
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鍵や空気入れまでパンフレットに載っています。
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特筆すべきはステンレス流し台などの「サンウェーブ」が販売元になっていたこと、これは他社に比べて圧倒的に強かった販売力の元でもあったのでしょう。







# by Detachment801 | 2021-08-06 10:26